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パラ射撃日本代表・水田光夏選手登場!


緊張したことがない。水田光夏選手の心拍数が歓びで爆上がりする瞬間が見たい!


水田美夏選手はいつも明るい。お話を伺ったのは2度目だが、ご自身の病気のことを話す時もどこか明るく抜けている。インタビュー中、唯一感情の揺れを話したのは「車イス生活になって、小さい頃からバレエをやっていて、踊ることが大好きだったのが、出来ないんだよとなった時、病気だって言われた時よりショックだった。」という話。パラアスリートであることを思い出させられた瞬間だ。

水田選手は森村学園中等部2年生で、神経系の難病シャルコ・マリー・トゥース病と診断されるまで、ダンスが好きで学級委員やリーダー役を率先してやる超行動的少女だったという。何か新しいことを始めようと思って探していて出会ったパラ射撃はダンスと180度違う、静のスポーツだ。激しい息遣いなどもってのほか。超がいくつもつくメンタルスポーツだ。

10メートル先の的めがけて60分間に60発を撃ち、的に当たった合計得点を争うエアライフル。射撃のテクニックはもちろんだが、メンタルの強さが勝敗を決する。求められるのは、競技中、一喜一憂しない平常心。当たっても外しても、一発ごとに心拍数が上がっていては持たない。それもそのはず10メートル先の的の大きさは4センチ。黒点は30.5ミリ。トップクラスの選手が狙う中心点は、直径わずか0.5ミリとまさに点である。一発のミスも許されないプレッシャーの中、60分で60発、選手は次々と撃ち抜いていく。静寂の中で繰り広げられるが、点数はモニターにリアルタイムで表示されるので、今自分がどの順位にいるのか、ライバルに勝利するために、あと何点ぐらい必要なのかが、選手はどうしても頭に入ってくる。平常心を保って淡々と撃ち続けなければならないと分かっていても、その緊張感は会場の静寂の空気をどんどん張り詰めさせていく。

私は緊張したことがないと水田選手は言う。子供の頃からバレエの発表会などで場数を踏んできたからだろうか、図らずもパラ射撃に求められる天賦の才を彼女は持っていた。ダンスから真逆のパラ射撃へ。病気によって、いろんな事が変わった中で出会った新たな目標を射抜く舞台は目の前にある。その瞬間が大きな歓びで水田選手の心拍数を激上がりにすることを、期待して、固唾をのんで見守りたい。

モリタニブンペイ


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