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ブラインドサッカー日本代表佐藤大介選手

目が見えるゴールキーパーの佐藤選手が目が不自由なフィールドプレーヤーと同じイメージを持つためにやったこと。

ブラインドサッカー日本代表・佐藤大介選手はルール上、5人のプレーヤーの中で唯一「目が見える」立場であるゴールキーパー。最後方からの的確な指示で東京パラリンピック、初出場のチームを見事5位に導いた。

だが初めてプレーした時は何も出来なかったという。「キーパーの経験があったので、ある程度できると思っていたんです。でも実際にやってみたら、指示を出そうとしてもどういう風に指示を出していいか分からなくて、指示を出そうと思った時には、その場面は終わっている。最後の最後、シュートは取ろうと思うんですけど、普段11人制のサッカーをやっていた時に選手の視線だったりとか顔の向きだったりとか、足の向き、軸足の向きだったりを見ていたのにそれが出来ない。全く訳が分からなくて何も出来なかったです。」

ブラインドサッカーのフィールドプレーヤーは頭の中でイメージを描くが、全員が描くイメージは決して同じではない。伝えることに苦心した佐藤選手は対話で模索する。「直接どうやったら分かる?個々にどうやった言葉が理解しやすい?例えば、右斜め横っていう風に言うのか、自分を軸として時計に見立てて2時の方向って言った方が分かりやすいのか、選手によって言葉をチョイスする、変えるっていうので積み重ねていったっていうので、選手もそういう風に寄り添うことで、本当に自分自身気にかけて言葉を選んでくれているそこにも信頼が繋がってきますし、そういうので、どんどん一人一人に相談しながら作り上げていったっていうのがありますね。」

信頼関係を積み重ねてチームとしてプレーの精度を上げた集大成が東京パラリンピックだった。この経験を次のチームに伝えるために、大会後、佐藤選手はコーチ兼任となった。そしてもう一つ大切なのがパラリンピックのレガシーを伝えていくことである。そのためにブラインドサッカー協会では様々な体験プログラムを用意している。

「選手がよくピッチの中は自由だって、思いっ切り走れるっていうんですけど、選手が街中が怖いっていうのは、歩いてて突然点字ブロックに自転車があるとか、人がスマホを見て下向いてて体がぶつかるとかいうこと。そういうひとりひとりが、アイマスク体験で気付きに変わってっていうのが僕は凄く大事なことだと思うんですよね。」

佐藤選手が目の不自由なフィールドプレーヤーの立場になって考える視点を身に着け、対話を通じて理解を深めたことを、我々も見習いたい。そうすれば誰にも優しい社会になるはずだ。

                モリタニブンペイ

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