25年ぶりの優勝へ、
野球ができる歓びがあふれ出る三嶋投手
原動力はお互いをリスペクトする最高のライバルの存在
昨年8月、横浜DeNAから「三嶋一輝投手が国指定の難病、黄色靱帯骨化症の手術を受けました。」と発表があった時、本当に驚いた。なぜなら、5月頭に「腕の張り」で登録抹消されるまで、何事もなかったように三嶋投手はマウンドに上がり続けていたからだ。そのニュースには、実は三嶋投手は以前から体の不調を感じていて、登録抹消前には、歩行困難や激しい痛みもあったとあった。そのことを三嶋投手に向けると「痛み止めの注射打ったり、無理やり足に力が入る針治療をしたりして、マウンドに上がっていた。」のだという。
次なる疑問は、なぜそこまでしてマウンドに上がらなければならなかったのかだ。「やっぱり一番は山﨑康晃の存在。彼が不調に陥った時に、僕がクローザーを任していただくことになって、彼が見ていた景色っていうのをほんの少しだけ感じ取ることが出来た。それを手放したくないっていうのがまず一番最初にきた。」投手にとって、マウンドがどんな場所で、どんな気持ちで上がっているかがよくわかる。
三嶋投手と山﨑投手、お互いが、それこそ命がけでやっていることが分かるから三嶋投手の手術の翌日、山﨑投手がヒーローインタビューで「三嶋さんが一生懸命闘っている中で、1日も早く復帰出来るように僕達も頑張っていく。三嶋さんにもエール送っていただけければ助かります。」三嶋投手にエールを送ったのだろう。この話を伝え聞いた時のことを、「自分がクローザーやってた、僕が替わりにいうたらやってた、まぁ仇ではないですけど、彼にとっても何か思ってくれることがあったからこうやって言ってくれたのかなっていう風に思って、素直に嬉しかったですけどね。」チームメイトであり、ライバルであり、本当にいい関係性がよく分かりる。
良い関係と言えば、昨年この番組に伊勢広夢投手が出演した際、伊勢投手がまだリードされた場面でしか投げさせてもらえなかった時、「一人ずつ、無失点に抑える。それ続けていけば、いつかきっといい場面で投げられるから」と三嶋投手に言われたことを胸に刻んで投げていると語っていた。その伊勢投手が今、8回の男になり、三嶋投手の言葉は、伊勢投手から明治の後輩の入江投手に受け継がれ、三嶋イズムとなって、ベイスターズの最強ブルペン陣を形成しているのだ。
お互いをリスペクトし、与えられた持ち場で打者一人一人を全力で抑えに行く。その積み重ねが、いつか自分をさらなる高みに引き上げると信じて腕を振る投手たち。競争とリスペクト、ベイスターズ投手陣は本当に良い集団となった。その中心には難病から復活し、「ここに戻ってこれて本当に戦えるんだっていう思いがたぶん顔に出てるのかなと思う」と笑顔が増えた三嶋投手がいる。25年ぶりの優勝へ、ベイスターズを、三嶋投手を応援したい! モリタニブンペイ